Metaがカメラを搭載しない新型スマートグラス「Luna」を開発している。9月23〜24日開催の年次カンファレンス「Meta Connect」で披露される見通しで、早ければ10月にも出荷を開始する計画だ。現行のカメラ搭載モデルが「盗撮眼鏡」との批判を浴びてきたことへの対応とみられる。

批判の的になった現行モデル

Meta のカメラ搭載スマートグラスは販売面では成功を収めている一方、同意のない撮影やネット上での嫌がらせに悪用されているとの懸念が根強い。イギリス各地やニューヨークのクラブでは、店内でのメガネ着用を禁止する動きも出ている。LED インジケーターを改造して録画中であることを隠す手口が広まったことも、批判に拍車をかけた。

Luna の仕様と狙い

Luna はカメラを完全に排除し、代わりに6個の内蔵マイクを搭載する。ユーザーはマイクを通じて Meta の AI チャットボットやエージェント「Muse」と音声で対話でき、テンプル部分のサイドボタンを押すことで素早く AI 機能を呼び出せる。スピーカーはユーザーの耳に向けて音声を届ける指向性設計だ。カメラをなくした分テンプルをスリムにでき、外見は一般的な眼鏡に近づいている。デザインは「Clubmaster」と「Burbank」の2種類が用意される見込みだ。

Meta は AR 機能を中心にした別のプロトタイプ「Phoenix」も並行して開発しており、こちらは2027年の投入が予定されている。Luna はそれより先行して、プライバシーへの抵抗感からスマートグラスの購入を見送っていた層の取り込みを狙う位置づけといえる。

読者への影響

カメラを理由に敬遠していた消費者にとっては、AI アシスタント機能だけを求める選択肢が新たに生まれる。一方で Meta の Reality Labs 部門は依然として大きな損失を計上しており、収益化の道筋はカメラ付きモデルとの両輪でどう描くかが今後の焦点になる。スマートグラス市場全体としても、プライバシー配慮とAI機能を両立させる設計が今後の主流になっていくかが注目される。

アップデート:正式名称「Ray-Ban Meta Audio」として発表、価格349ドル

Meta は9月23日、年次カンファレンス「Meta Connect 2026」で開発コード名「Luna」だったカメラレスグラスを正式発表した。製品名は「Ray-Ban Meta Audio」。

Ray-Ban Meta Audio の仕様

  • 重量43グラムと、カメラ搭載モデルより軽量なスリム設計
  • バッテリー駆動時間は単体で最大12時間、充電ケース併用で最大48時間
  • 音楽・ポッドキャスト再生、通話、音声翻訳、AI アシスタント「Muse」との対話に対応
  • 調整可能なテンプル、交換可能なノーズパッド、過伸長ヒンジを搭載
  • カラー・レンズの組み合わせは23通り、デザインは「Clubmaster」「Burbank」の2スタイル
  • 価格は349ドル(税別)、予約受付は10月13日開始

同時発表のカメラ搭載モデル「Ray-Ban Meta Gen 3」

Meta は同時に、カメラ搭載の次世代モデル「Ray-Ban Meta Gen 3」も発表した。12MPカメラ(3K Ultra HD 撮影対応)、6個のマイクアレイを搭載し、バッテリー駆動時間は最大9時間。新デザインとして「Aviator」「Zena」(キャットアイフレーム)が加わる。

カメラなし・カメラ付きの2ラインを同時展開することで、プライバシー重視層と従来ユーザーの双方を取り込む狙いだ。

アップデート:AR プロトタイプ「Phoenix」が「Meta VR Glasses」として正式発表、価格1,299.99ドル

Meta が並行開発していたARプロトタイプ「Phoenix」は、「Meta VR Glasses」として正式発表された。2027年春に1,299.99ドルで発売される。

本体はわずか100グラム、演算部は外部の「パック」に分離

本体重量は約100グラムで、従来のQuest 3ヘッドセットと比べて約5倍軽量だという。プロセッサー・バッテリー・ストレージはグラス本体から切り離し、光学ケーブルで接続する外部演算ユニット「パック」に搭載する設計を採用した。パックは高解像度メディアの連続再生で最大3時間駆動し、45ワットの急速充電に対応する。

5K マイクロOLEDディスプレイとQualcomm製新チップ

ディスプレイには5K相当の解像度を持つマイクロOLEDパネル「5K Infinite Display」を採用し、Qualcommの新チップ「Snapdragon Reality Elite」で駆動する。アイトラッキングとハンドジェスチャーによる操作に対応し、視線と手の動きだけでの操作を想定する。

フォトリアルなアバター機能「Hologram」を初搭載

Meta VR Glassesは、同社のリアルなアバター技術「Hologram」を初めて搭載する製品となる。WhatsAppのビデオ通話にフェイストラッキング対応のフォトリアルなアバターとして参加できるほか、Meta VR Glasses同士(将来的にはQuest 3とも)の通話では、等身大のアバターとして映る機能を提供する。

Luna改め「Ray-Ban Meta Audio」がカメラを排除した軽量グラスだったのに対し、Meta VR Glassesはディスプレイとセンサーをグラス側に残しつつ演算部を分離するという異なるアプローチで、フルスペックのAR/VR体験を軽量なフォームファクターで実現しようとしている。

アップデート:聴覚支援スマートグラスも披露、価格150ドル

Meta Connect 2026では、約5年間開発を続けてきた聴覚支援向けスマートグラスも発表された。難聴者向けに特化した設計で、音声を特定方向に絞り込むフォーカスモードと、周囲全体の音を底上げする全方向性モードを切り替えられる。

価格は150ドルで、最高1,600ドルにも達する従来の補聴器と比べて大幅に安い。米国では約5,000万人が難聴の影響を受けているとされ、Metaはカメラなし・カメラ付きモデルに続く第3の路線として、これまでスマートグラス市場では手薄だった健康・アクセシビリティ領域への参入を進めている。